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遺留分に注意して遺言書作成

例えば推定相続人が3人いるとします。
この中の一人に全部の財産を相続させるという内容の遺言を残す事は出来るのかという話があります。この場合、一人の推定相続人にのみ財産を相続させるという遺言書を作成する事は可能です。

ただし、いざ相続が発生した時にその遺言書の内容通りに相続財産の配分が行われるかといえば、必ずしもそうとは限りません。なぜなら遺留分というものが存在するからです。

遺留分とは

冒頭に例として記述した内容で相続が行われる場合。
推定相続人が3人おり、全員が「子」であるとするとそれぞれの法定相続分は相続財産の3分の1ずつです。これを3人で相続します。

さてこの時、3人いる推定相続人のうち1人に全ての財産を遺贈するとした場合どうなるでしょうか?残りの2人は全く相続財産をもらえない事となり、不公平が生じます。

では財産を一切相続させないとされた2人は何も出来ずにただ諦めるだけになるかといえば、そうではありません。

ここで登場するのが「遺留分」の制度です。
これは被相続人の財産管理の自由と遺族の生活保障および遺産形成に貢献した遺族の潜在的持分の精算という相続人の保護との調整を図る趣旨から、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。

具体的に上記のケースでは。
財産をもらえないとされた2人は、法定相続人なので本来であれば相続財産3分の1をそれぞれ承継することになります。そして遺留分として請求できるのはその法定相続分の2分の1。

つまり、何も無しとされた2人はそれぞれ相続財産の6分の1(個別遺留分)ずつを請求する事が出来ます。これを遺留分減殺請求権といいます。

遺留分の割合

遺留分の割合については民法1028条において定められています。

総体的遺留分

  • 相続財産が配偶者や子の場合は、被相続人の財産の2分の1

  • 父母などの直系尊属の場合は、被相続人の財産の3分の1

  • 相続人が兄弟姉妹の場合は、遺留分なし

個別遺留分の割合

個別遺留分とは、総体的遺留分の割合に法定相続分の割合を乗じたものです。前項の6分の1という割合はこの計算によって出てくるものです。
一般的に遺留分の割合というと、この個別遺留分を意味する事が多いです。

遺留分を侵害した遺言がある場合、減殺請求をされる事がある

冒頭に挙げた例のように、他に推定相続人がいてその遺留分を侵害するような遺言がなされている場合どうなるのかという話。

推定相続人の遺留分を侵害して遺言が行われた場合には、遺留分を侵害された者は、遺留分を侵害する遺贈を受けた者に対して、侵害された遺留分に相当する相続分を返せと請求する事ができます。上述したようにこの権利を遺留分減殺請求権と呼びます。

請求されなければ遺留分は問題にならない

この遺留分というのは、法定相続分と同じように黙っていても自然にもらえるものではありません。権利としての遺留分は自然に発生していますが、侵害された者が減殺請求をしなければ侵害されたまま相続財産の承継や遺贈は進んでいきます。

なお、この遺留分減殺請求権は民法において「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。相続の開始の時から10年を経過したときも、同様とする。」と短めの時効期間が定められています。

遺留分減殺請求は、どうしても権利関係の変動を発生させるので、行使できるのにしない状態をいつまでも続けることはあまり望ましくないとされているからです。

減殺請求の行使は意思表示だけでよい

遺留分減殺請求権の行使は、なんとなく裁判による手続きをしなければならないように思いますが、そんな事はありません。「減殺請求をする」という意思表示をするだけでよく、またその時点ではどの程度の財産を請求するのか細かな計算などはしていなくても構わないです。

意思表示でいいので口頭による通知でも大丈夫ですが、実際には言った言わないの争いを避ける為に、証拠の残る内容証明郵便などで通知するのが一般的です。

最終的には裁判になるケースも

内容証明による意思表示でも遺留分減殺請求権を行使する事はできますので、それで話がうまくまとまるのであれば問題ありませんが、当然こじれてしまう事もよくあります。

話し合いでおさまらなければ、調停・民事訴訟・裁判所による審判など結局は裁判所での手続きが必要になってきます。遺留分関係で揉める場合は、減殺請求をする側にせよ、される側にせよ最悪そこまでいく事があるという認識を持っておく事が必要です。

遺留分を意識した遺言を作成

このように、仮に誰かの遺留分を侵害する内容の遺言書を作成したとしても、侵害されている推定相続人が請求しない限りは問題にはなりません。

請求したとしても自分で本来の相続財産を確定させ、その中から個別遺留分を計算して請求し、場合によっては裁判までと考えていくと膨大な時間と費用がかかります。
それを考えて請求を諦める人もいます。

ただこれは請求される側も同じ。
いざ揉め始めると、何年にも渡って解決しない問題となってしまいます。

それを避けるためには、あらかじめ遺留分の計算をして、減殺請求できる権利をもっている人に対しては、最低限遺留分を侵害しない分量の相続財産を割りあてておく遺言書を作成する、という対策をとる事も大事です。

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